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一人会社の経理塾~決算・節税対策~

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「節税」―これは、多くの個人事業主や一人会社の社長が深く関心を寄せるキーワードでしょう。

特に、事業が拡大し、利益が拡大してくると、どうしても無視できなくなってくるのが税金の存在です。

税金が増えることは、ビジネスが順調に進んでいる証拠ではありますが、同時に、税金対策を怠ると、それが事業活動におけるマイナス要因となり得るのもまた事実です。

ここで大切なのが、的確な知識と計画に基づいた節税対策を行うことです。

税金を必要以上に支払わないため、会社に蓄積し次への投資を促すためのキャッシュを適切な方法で高めるための手法が節税対策であり、これは、事業の持続可能性と成長を支える重要な要素となります。

本記事では、節税に資する行動をいつどのタイミングで検討しておくべきかに焦点を当てつつ、
事例を通じて、節税の具体的イメージを理解いただけるよう執筆しています。

目次

はじめに

【一人会社の経理塾】のうち、《決算・節税対策》編を送ります。

【目次(一人会社の経理塾)】
(1)一人会社の経理塾とは?
一人会社の経理塾~導入編~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(2)個人事業主?法人?事業形態の選択
一人会社の経理塾~個人事業主?法人?事業形態の選択~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(3)知っておくべき決算書知識
一人会社の経理塾~知っておくべき決算書知識~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(4)年間経理スケジュール
一人会社の経理塾~知っておくべき経理スケジュール~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(5)知っておくべき経理知識
一人会社の経理塾~知っておくべき経理知識~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(6)決算・節税対策(当記事)
(7)税理士選定ガイド
一人会社の経理塾~税理士選定ガイド~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)

節税とは?

「節税」とは、法に定められた税制度や税率を適切に活用し、合法的に納付する税金を減らす行為を指します。

違法な方法で納税額を減額する「脱税」とは全く異なる行為です。

言い換えれば、企業は「節税」を行い不要な税金の支払いを回避することで、資金流動性を保つことが可能になります。これにより、事業拡大や再投資に直結する資金を最大化でき、企業の成長戦略において欠かせない戦略の一つとなります。

税金計算の仕組み

個人事業主と法人の税金計算の仕組みを、改めて確認します。

<法人>
・法人税は、ざっくり、「課税所得 × 法人税率(15% or 23.2%) – 税額控除」で計算される。
<個人事業主>
・所得税は、ざっくり、「(総所得金額 – 所得控除)× 所得税率(5%~45%)- 税額控除」で計算される。

法人税計算の流れ
所得税計算の流れ

節税の仕組み

法人税や所得税といった代表的な税金を計算する際に、その算定の基礎となる項目を「所得」と呼びます。
これは、企業の売上から必要な費用(経費)を差引いた金額と定義され、ここからさまざまな税金が計算されます。
すなわち、この「所得」をいかに引き下げるかが、節税に直結します。

<法人の場合の節税手法>
・売上を減らす(例:翌期にサービス提供を行う)
・費用(経費)を増やす(例:将来投資のためのマーケティング費用を期末までに支出する)
・税額控除を上手く活用する(例:中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除)

<個人事業主の場合の節税手法
・売上を減らす(例:翌期にサービス提供を行う)
・費用(経費)を増やす(例:将来投資のためのマーケティング費用を期末までに支出する)
・所得控除を上手く活用する(例:小規模企業共済等掛金控除、医療費控除、生命保険料控除の活用)
・税額控除を上手く活用する(例:住宅ローン控除の活用)

時期に応じた節税対策

年間を通じて節税対策を心がけることが重要

節税対策を検討するなタイミングは、年度末だけではありません。
実は、年度の初めから中間、そして年度末直前にかけて、横断的な計画と対策が肝心です。

年度初め(前年度末)

この段階での節税対策のポイントは、「予算策定」です。
年間の収益と費用の予算を策定し、可能な限り所得控除など税務調整も加味したうえで、どのくらいの税負担が想定されるのかを早い段階で把握しましょう。
特に経費については、毎期一定であることも多く、前年度の経費額を参考にすることができます

期中

年度の中間点で、事業の進捗や財務状況を再評価する必要があります。
目安として、期首から6ヶ月程度で期末の着地見込みのアップデートを行います。
期末に経費認識される支出は限られており、期中段階で余裕を持った経費支出を検討するために必要な作業です。

期末前

事業年度の終わりに近づくと、着地見込みの最適化が必要となります。
目安として、期末から1~2ヶ月前に、改めて期末の着地見込みのアップデートを行います。
この段階では、期末の想定着地をほぼ見込める段階であり、年度末までに計上することができる経費などを確認し、節税のための最適な経費支出を検討します。
また、経費だけでなく、業績に応じて、案件成約を翌年度へ調整するなど、売上面での工夫も検討されます。
更に、特に消費税については、インボイス登録や簡易課税制度の選択など、翌年度以降に備えた対策も必要です。

節税事例

具体的な節税対策(事例①)

例えば、中古車を360万円で購入したケースを想定しましょう。
通常、一般車両は6年間で減価償却を行いますが、型落ちの中古車などを購入する場合で一定要件を満たすと、耐用年数を1年とすることができます。

ただし、減価償却費は「月割り」で行うことに留意が必要です。

すなわち、12月決算の事業で、決算期間際の12月に中古車を購入して使用したとしても、その年に経費として計上できるのは1ヵ月分の30万円(360万円÷12か月)だけです。

これでは「節税対策」としての効果は限定的です。

このような事例から、節税対策は通年で検討する重要性がわかると思います。

具体的な節税対策(事例②)

次に、個人事業主にとって便利な、国の機関である中小機構が運営する小規模企業共済制度を活用した節税対策を見ていきましょう。掛金は税法上、全額を小規模企業共済等掛金控除として、課税対象となる所得から控除できます。
以下、中小機構HP上で公表されている節税シミュレーションです。

小規模企業共済等掛金控除 節税シミュレーション(出典:中小機構)

このように、小規模企業共済等掛金は、将来の退職金原資としての性質を持ちつつ、高い節税効果があるお得な制度です。

おわりに

節税対策は、事業運営の一部として組み込む重要な要素であり、節税対策の本質を理解し、適切に実施することが必要です。
本記事を通じて、その対策を年度を通じて効果的に行うための基本的な知識とタイミングをご理解いただけたことと思います。
事業の財務的な健全性を保つために節税対策は有効な手段ですが、過度な節税に走ることは、ビジネスの本質から目を逸らすこととなり、本末転倒になる恐れがあります。
また、最近は、過度な節税に対する取り締まりも厳しくなっており、リスクを冒してまでの節税は避けるべきです。

事業の目的やビジョンを達成するためには、収益を上げることが最優先です。節税対策はその一環として、賢明に計画し、適切なタイミングで実施することで、税負担を最適化することができます。

終わりに、税法や経済環境は常に変動します。
これらの変動に柔軟に対応するためには、定期的な情報のアップデートと税の専門家である税理士からの助言が不可欠です。
事業の成長とともに、適切な節税対策を実践し、持続的な事業の発展を目指してください

創業Meister

当記事に関するお問い合わせなどは、以下よりお願いいたします。

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