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一人会社の経理塾~税理士選定ガイド~

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経営を行う中で、経理や税務といった分野はどうしても複雑で敬遠しがちなものです。

特に、個人事業主や一人会社の経営者の多くは、多くの業務を一人でこなさなければならないため、経理の知識などがその中でどれだけの重要性を持つのか、見極めるのが難しいと感じる方も少なくないでしょう。

先に、「知っておくべき経理知識」や「知っておくべき決算書知識」といったテーマで、経理の基礎や決算書の基本的な読み方をお伝えしてきました。

しかし、これらの知識を持っていたとしても、時として専門家の助けが必要になる場面があります。
特に税務面については、業務の煩雑さという側面だけでなく、税務調査に伴う追徴課税リスクなどの可能性があるため、税理士に業務を依頼する方も多いのが実情です。

しかし、どのタイミングで税理士を選定するとよいのか?どのようにして適切な税理士を選ぶべきなのか?適正な報酬水準は?といった税理士選定時のポイントについては十分に理解されていないのも実情です。

本記事では、そんな個人事業主や一人会社の経営者の皆様に向けて、解説を行いたいと思います。

目次

はじめに

【一人会社の経理塾】のうち、《税理士選定ガイド》編を送ります。

【目次(一人会社の経理塾)】
(1)一人会社の経理塾とは?
一人会社の経理塾~導入編~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(2)個人事業主?法人?事業形態の選択
一人会社の経理塾~個人事業主?法人?事業形態の選択~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(3)知っておくべき決算書知識
一人会社の経理塾~知っておくべき決算書知識~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(4)年間経理スケジュール
一人会社の経理塾~知っておくべき経理スケジュール~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(5)知っておくべき経理知識
一人会社の経理塾~知っておくべき経理知識~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(6)決算・節税対策
一人会社の経理塾~決算・節税対策~ | 一人会社の起業塾 (mielu-ca.com)
(7)税理士選定ガイド(当記事)

税理士選びのポイント

一人会社としての経営業務は多岐にわたりますが、中でも経理や税務は特に重要な領域となります。
正確かつ効率的にこれらの業務を遂行するためには、必要に応じ、専門家である税理士のサポートが欠かせません。
では、どのように税理士を選ぶべきか?そのためのポイントを以下にご紹介します。

税理士へ通常依頼する業務と契約形態

個人事業主や一人会社経営では多くの場合、税理士への依頼業務が比較的シンプルになることが多いです。
このため、依頼内容が比較的明確となり、税理士報酬額のも明確化し易いでしょう。

そして、税理士へ依頼する具体的な依頼業務として一般的なのは、「顧問契約」の形態です。
顧問契約の下では、以下の業務が行われます。

【顧問契約の内容】
①経理(記帳)
月次や年次の経理業務。必要な領収書や収支のデータを税理士へ提供し、税理士がこれを基に会計ソフトへの入力や整理を実施します。
②決算書作成
税理士が損益計算書や貸借対照表などの財務書類の作成を実施/サポートします。
③確定申告書作成
法人税や所得税など、必要な確定申告書類の作成を税理士が実施/サポートします。
④会計税務相談
経営の疑問や悩み、税務上のリスクや将来の税務対策に関する相談などを税理士と定期的に実施します。

この「顧問契約」に加えて、「年一決算申告」や「スポット相談」のような契約形態も選択可能です。
これらの3つの契約形態をまとめた表は以下となります。

税理士との契約パターン

契約形態の選択に際しては、依頼したい業務の具体的な範囲、MTG有無/頻度、そして税理士との相性や信頼関係の構築度合いも踏まえて検討されます。
経営スタイルやビジネスの方向性、ニーズに最も適合する契約形態を選ぶことが、円滑な業務進行の鍵となります。

税理士選定のタイミング

税理士選定は経営において重要なポイントとなりますが、その選定タイミングは適切に検討する必要があります。
例えば、自身で経理の全体像を理解していない状況下で時期尚早に依頼してしまうと、具体的な依頼内容が固まっていない中での選定となり、双方の期待が合致せず、後から期待ギャップが生じる可能性が高まります。また、逆に遅すぎると、経営上の最適な税務対応が難しくなるリスクが増えます

それでは、税理士を選定する最適なタイミングはいつなのでしょうか?
例えば、以下のステップを踏んだ上での税理士選定が推奨されます。

【Step1:経理全体像を自身で理解する】
まず、経営における経理の役割や重要性を十分に把握することが必要です。
これにより、税理士へ依頼する具体的な業務範囲を明確にし、自身のスキルとのギャップも確認できます。
【Step2:会社設立後の税務関連の手続きを進める】
会社設立後、インボイスの登録判断や青色申告承認申請書の提出など、初期段階で必要となる手続きやタスクが数多く存在します。これらの手続きの中で税理士のサポートやアドバイスが必要と感じたタイミングで、税理士の選定を行うと良いでしょう。

税理士選定のタイミング

以上の2つのステップを踏むことで、自身の経営方針にフィットした税理士を選定することができ、双方の期待ギャップも解消できる可能性が高まります。

報酬水準

個人事業主や一人会社経営を安定させるためには経費管理が重要ですが、適正な税理士報酬がどの程度なのかは、気になるポイントの一つでしょう。
税理士の報酬は、契約の内容や範囲、サービスの質、地域差など様々な要因で変動しますが、個人事業主や一人会社など比較的小規模な事業にかかる一般的な相場感を以下に示します。

<1. 個人事業主の場合>
◆顧問契約
月々の経理業務の代行や税務相談などを含む定期的なサポートを受けるケース。
報酬の相場は月2~3万円程(月額報酬に加え、決算申告料が月額報酬の4~6ヵ月分追加で生じる)。
◆年一決算申告
年一度、決算と確定申告のサポートを受けるケース。一回の業務としての報酬となり、5~20万円程
◆スポット相談
特定の課題や疑問点に対して、相談を行うケース。1時間あたり1~3万円程。

<2. 法人の場合>
◆顧問契約:
月々の経理業務の代行や税務相談などを含む定期的なサポートを受けるケース。
報酬の相場は月3~5万円程(月額報酬に加え、決算申告料が月額報酬の4~6ヵ月分追加で生じる)。
◆年一決算申告:
年一度、決算と確定申告のサポートを受けるケース。一回の業務としての報酬となり、10~30万円程
◆スポット相談:
特定の課題や疑問点に対して、相談を行うケース。1時間あたり1~3万円程。

税理士の探し方

税理士を選ぶ際には、自身のビジネスニーズや予算、サービスの質などを考慮する必要があります。
以下は、効果的に税理士を探すためのポイントです。

1.自身のニーズの明確化
・どのような業務を税理士に依頼したいか(例:経理、確定申告、コンサルティングなど)を明確化する
2.口コミや紹介利用
・他の経営者や友人からの紹介や、オンラインのレビューサイトでの口コミを確認する
・紹介を受ける場合は、その税理士が紹介者のビジネスニーズをどのように充足しているのかを確認する
3.税理士紹介サイトを活用
・税理士ドットコムなど、税理士紹介サイトを活用する
4.初回相談の実施
・複数の税理士や事務所と初回相談を実施し、予算に合うかどうかやコミュニケーションが取りやすいかなどを確認する
5.料金体系やサービス内容の確認
・料金体系が明確か確認する(隠れたコストや、追加の料金が発生する可能性があるかを確認する)
6.過去の実績や専門分野の調査
・税理士が持っている資格や、取り扱っている業界、専門分野を確認する

税理士選びは、単に業務を委託するだけでなく、自社の経営パートナーとしての役割も果たしてくれる存在です。適切な税理士を選定することで、安心して経営を行うことができるでしょう。

税理士への外注判断基準

税理士への業務外注の是非を考える際には、3つの主要な観点から自身のニーズと状況に合った最適な方法を選択するとよいでしょう。

税理士への外注判断の考え方

①本業に専念したい方
本業に集中し、経理や税務処理といった専門的な業務は専門家に任せたいという方
は、税理士への外注が最適です。これにより、専門的な知識や経験を持った税理士が適切に業務をサポートしてくれるため、ビジネスの発展に専念することができます。
ただし、ご自身でも決算書の読み方など最低限の経営リテラシーは身に付けておきましょう

②コスパで判断したい方
経理に関する作業時間と、それにかかる費用を元に、税理士への外注が経済的に合理的かどうかを判断する方法もあります。例として、64時間の作業時間で報酬が32万円の場合、1時間あたりのコストは5,000円となります。
ご自身の実情に合わせ時間単価を計算し、その金額に納得がいくのであれば、税理士への外注が適しています。逆に、この金額感に納得がいかない場合は、自身で経理を行うことを検討すべきでしょう。

なお、個人事業主や一人会社で経理や確定申告などの一連の作業を行う際には、一般的に、年間50時間~100時間ほどの作業時間を要するかと思いますので、目安としてください(ただし、初年度は、システムの初期設定や不慣れな状況などを考慮すると、さらに時間を要すると思います)。

③経費を最小化したい方
限られた予算内で経理を効率的に行いたいという方は、自身での経理(自製)が良い選択となるでしょう。
ただし、自身で経理を行う際には、適切な知識やスキルの習得が必要となります。

これらの観点をもとに、各事業主が自身の状況やニーズに合わせた最適な方法を選択することで、効率的かつ経済的に経理業務を進めることが可能となります。

おわりに

経営者としての日々の業務は多岐にわたり、数多くの判断や選択を求められます。
その中で、経理や税務といった業務は、ビジネスの健全な成長をサポートする重要な要素の一つです。

最終的な税理士選定の選択は、各事業主のビジネスの状況や将来の展望、また自身の価値観やビジョンに基づいて行われるべきですが、今回の記事では、税理士への外注を検討する際のポイントや、それに伴う適切な方法の選択に関する情報をご紹介させていただきました。

特に、税理士を起用される方は、事業を続ける上でのパートナーとして、税理士との良好な関係を築きながら、経営のさらなる発展を目指してください。そして、そのような税理士と巡り合えることを祈っております。

創業Meister

当記事に関するお問い合わせなどは、以下よりお願いいたします。

創業Meister

税理士選定に関する基礎情報を理解したい方は、
以下の記事を参考にしてください。

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