「人材採用」タスクのポイント
まずは、「人材採用」タスクの全体像をざっと理解したいです。
はい、分かりました。
「人材採用」タスクの全体的なポイントを、シンプルに以下の通りまとめましたので、理解しておきましょう。
What? (何を) | 創業時の人材採用 |
When? (いつ) | 営業開始まで |
Who? (誰が) | 「各自で対応(自製)」又は「専門家(社会保険労務士)へ委託(外注)」 |
How? (方法) | 必要書類を準備の上、年金事務所等へ届出 |
How long? (期間) | 作業時間:数時間 企画~採用までの期間:即日~数週間(※1) |
How much? (費用) | 自製のケース:無料(※2) 外注のケース:数万円/月(社労士と顧問契約を締結する場合)(※2) |
(※1)採用方法や採用者との契約内容による。
(※2)例えば、人材紹介会社を介して人材採用を行った場合には、追加で紹介手数料が生じる。
「人材採用」タスク記事のまとめ
これから「人材採用」タスクに関する手続きなどを説明します。
結論をまずは知りたい方のために、記事内容を簡潔にまとめます。
よろしくお願いいたします。
- 事前理解
(1)人材採用方法
・創業時は、物事を効果的かつ効率的に進めることで成長スピードを高めていく必要がある一方、事業の不確実性が高いため、臨機応変な対応ができる体制である必要。この点につき、人材採用においても同じことが言える。
・そのような状況における人材採用方法としては、以下の3つが挙げられる。
- 親族を採用
- 友人知人(若しくはその紹介)を採用
- 外部業者・サービス経由で採用
(2)社会保険の適用関係
・社会保険の適用対象事業者(「強制適用事業者」又は「任意適用事業者」)に該当する場合には、労働条件等に応じた各種社会保険関連手続が必要となる。
・法人(株式会社、合同会社)の場合には、「強制適用事業者」となる。
(3)人材採用時に必要な行政手続
・例えば法人の場合には、従業員の「健康保険/厚生年金/雇用保険等への加入」が必要となる。 - 事前準備
・なし
- 領域専門家
・社会保険労務士 - 利用サービス
・会社設立支援ITツール など
- 作業手順
Step 1(人材採用活動)【数時間】
(1)求人募集の実施(必要に応じて、業者等への依頼含む)
(2)採用可否の判断及び契約
Step 2(必要手続の整理)【1時間程】
(1)要対応手続の整理
Step 3(届出)【数時間】
(1)必要書類の作成・提出
なるほどです…
私はもう少し詳細に教えて欲しいので、解説をお願いします。
「人材採用」タスクの事前理解
人材採用方法
人材採用はどのような方法で進めれば良いでしょうか?
以下に説明内容をまとめましたので、ご確認ください。
一般的に創業期は不確実性が高いので、極力キャッシュの外部流出を防いだ方が良く、まずは居住親族を青色事業専従者または事業専従者として採用するとよいでしょう。
① 居住親族を採用
・採用時の期待ギャップが最も少なく、最も信頼がおける存在になるため、もし居住親族内に適任の方がいる場合には真っ先に検討するとよい。
・また青色事業専従者として税務署に届出することで、親族に支払う給与を税務上経費として取扱うことができる。
・青色専従者給与とすることで、居住親族外へのキャッシュ流出を防ぐことができるため、不確実性の高い状況下における対策として有用。
② 友人を採用
・居住親族採用に次いで、採用時の期待ギャップが少ない。
・また居住親族よりも選択幅が広がるため、自身にない知識や経験等を持った人材を探す場合には有力な手法となる。
③ 外部業者・サービス経由で外部より採用
・コスト重視であればハローワークの活用が挙げられ、一定レベルの経験者を迅速に採用したい場合には人材派遣会社や人材紹介会社経由で経験者を採用する方法が一般的。
・また昨今では、クラウドソーシングサイトを介して採用する方法もある。
ふむふむ…
・青色事業専従者とは、確定申告を青色申告で実施し、かつ一定の要件を満たした場合に、家族を青色事業専従者とすることができる制度。
・当該制度を活用すると、家族への支払給与を全額経費とすることができる(ただし、職務内容等に応じた金額である必要があり、不相当に多額の給与は税務署から否認される可能性があるため留意)。
社会保険の適用関係
人材採用する場合に留意すべきことはありますでしょうか?
そうですね。
ご自身の会社が社会保険の適用事業所になるかについては、適切に把握しておきましょう。
以下にフォローチャートで図示しておりますので、ご確認ください。
そして、仮に社会保険適用事業者に該当した場合には、労働条件等に応じた従業員の社会保険関連手続が必要になります。
・任意適用事業者とは、従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所になった者。
社会保険の適用対象事業者に該当する場合には、例えば、以下の通り、労働条件等に応じた各種社会保険関連手続を行う必要が生じます。
① 健康保険・厚生年金
・健康保険は、国、地方公共団体または法人の事業所、あるいは一定の業種(※1)であり常時5人以上を雇用する個人事業所では強制適用となり、適用事業所で働く労働者は加入者となる。
・パートやアルバイト従業員などの短期労働者でも、1週間の労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、常勤雇用者の4分の3以上といったケースでは加入の必要がある点に留意(下表参照)。
・保険料は、事業主と労働者が折半で負担。
② 雇用保険
・雇用保険は、労働者が失業した場合に、生活の安定と就職の促進のための失業等給付を行う保険制度。
・通常、「1週間の所定労働時間が20時間以上」で「31日以上の雇用見込」の人材を採用した場合は適用対象。
・雇用保険制度への加入は事業所規模に関係なく事業主の義務。
・保険料は労働者と事業主の双方が負担。
・青色事業専従者のような家族従業員の場合は、原則として保険の対象にならない。
⓷ 労災保険
・労災保険は、労働者の業務が原因でけが、病気、死亡(業務災害)した場合や、また通勤の途中の事故などの場合(通勤災害)に、国が事業主に代わって給付を行う公的な制度。
・ 基本的に労働者を一人でも雇用する会社は適用され、保険料は全額事業主が負担する。
・パートやアルバイトも含むほぼ全ての労働者が対象となる点に留意。
・青色事業専従者のような家族従業員の場合は、原則として保険の対象にならない。
(※1)製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業、保管賃貸業、媒介周旋業、集金案内広告工業、教育研究調査業、医療保険業、通信報道業 など
なかなか複雑な制度ですね…
そうですね。
特に、採用を予定される方が上記の3つの保険すべての対象となる可能性が高そうな場合には、領域専門家である社会保険労務士へ一度ご相談されることを推奨します。
その際、業界団体の無料相談を活用されるのも宜しいかと思います。
例えば、東京都社会保険労務士会では以下のような無料相談窓口を開設されています。
外部リンク先(東京都社会保険労務士会)
人材採用時に必要な行政手続
人材採用時に求められる社会保険手続は何ですか?
以下の通り、表形式で整理しましたので、ご確認ください。
項目 | ① 健康保険・厚生年金 | ② 労働保険(※2) |
---|---|---|
届出書類 | 健康保険・厚生年金保険新規適用届 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 健康保険被扶養者(異動)届(※1) | 保険関係成立届 概算保険料申請書 雇用保険適用事業所設置届 雇用保険被保険者資格取得届 |
届出先 | 所轄年金事務所 | 所轄労働基準監督署や所轄労働局(ハローワーク) |
(※1)被保険者に扶養家族がいる場合
(※2)「一元適用事業所」のケース
・労災保険と雇用保険を一括加入する「一元適用事業所」と、別々に加入する「二元適用事業所」の2種類があり、一般的には「一元適用事業所」であることが多い。
「人材採用」タスクの事前準備
「人材採用」タスクの事前準備には何が必要ですか?
「人材採用」タスクにおいては特に事前準備は必要ありません。
「人材採用」時の労務関連手続きを代行する専門家は、社会保険労務士
人材採用時の手続関係で
相談に乗っていただける専門家はいますか?
社会保険労務士が、当該分野の専門家として業務を提供しております。
・社会保険労務士(労務関連手続きなど)
「法人設立ワンストップサービス」などの無料ツールの有効活用
人材採用時の手続関係で無料で活用できるサービスはありますか?
民間事業者が取扱うサービスはいくつかありますが基本的には有料です。無料で使える公的サービスとしては、デジタル庁より、「法人設立ワンストップサービス」が提供されており、マイナンバーカードを活用し、会社設立フェースの社会保険関連手続等を当サイト経由で行うことができます。
外部リンク先(法人設立ワンストップサービス | デジタル庁)
「人材採用」タスクの作業手順
さて、本題となりますが、
「人材採用」タスクの作業について教えてください。
「人材採用」タスクの作業手順概略は以下の通りです。
作業手順概略
【数時間】
(1)求人募集の実施(必要に応じて、業者等への依頼含む)
(2)採用可否の判断及び契約
(1)要対応手続の整理
(1)必要書類の作成・提出
作業手順説明
Step 1(人材採用活動)
(1)求人募集の実施(必要に応じて、業者等への依頼含む)
まずは、募集ポジションや採用条件に合わせ、求人方法を検討の上、実際に求人募集を実施していきます。
その際、大前提として、創業期においてキャッシュの確保はとても重要となりますので、以下の順で採用を進められることを推奨いたします。
【人材採用方法の優先順位】
① 居住親族を採用
② 友人を採用
③ 業者等経由で外部より採用
・まずは「親族や友人等の採用」を検討し、候補者がいれば、人材採用の負担を軽減することができる。
ちなみに、ここでいう「業者等」にはどのような会社がありますか?
代表的な業者・サービスは、以下の通りです。
外部リンク先(人材紹介サービス)
(商品/サービス概要)
・人材派遣会社とのコネクションがないであったり、複数の人材派遣会社に相談したい方、コストをかけずに人材派遣会社を探したい方にお勧めなのが人材派遣一括.jp。
・人材派遣一括.jp は、完全無料で、希望条件や要望を満たした人材派遣会社を一括で探すことができる。
(2)採用可否の判断及び契約
求人募集を行い、候補者が見つかりましたら面談を実施しましょう。
候補者との面談が終了しましたら、採用可否を判断し、採用したいと考える候補者へはオファーを提示。候補者より了承の返事がもらえたら契約締結。そのような流れで進んでいきます。
Step 2(必要手続の整理)
(1)要対応手続の整理
採用者の業務や採用条件等と合わせ、対応が必要となる社会保険関係手続の整理を実施していきます。
再掲となりますが、代表的な事例として以下をご確認ください。
項目 | ① 健康保険・厚生年金 | ② 労働保険(※2) |
---|---|---|
届出書類 | 健康保険・厚生年金保険新規適用届 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 健康保険被扶養者(異動)届(※1) | 保険関係成立届 概算保険料申請書 雇用保険適用事業所設置届 雇用保険被保険者資格取得届 |
届出先 | 所轄年金事務所 | 所轄労働基準監督署や所轄労働局(ハローワーク) |
(※1)被保険者に扶養家族がいる場合
(※2)「一元適用事業所」のケース
Step 3(届出)
(1)必要書類の作成・届出
人材採用が決定しましたら、Step 1(2)にて整理した必要書類の作成及び各行政機関へ提出を行うことで「人材採用」タスク完了となります。
なお、書類作成方法などは、日本年金機構HPや、厚生労働省HPなどで確認を行いましょう。
外部リンク先(健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 日本年金機構)
外部リンク先(事業主の行う雇用保険の手続き | 厚生労働省)
人材採用についてしっかりと検討します!
おわりに
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「人材採用」タスクは、「開業時の社会保険関連手続」タスクと関連性が高いため、確認しておきましょう。
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「人材採用」タスクを、
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