「開業時の税務関連手続」タスクのポイント
まずは「開業時の税務関連手続」タスクの全体像をざっと理解したいです。
はい、分かりました。
「開業時の税務関連手続」タスクの全体的なポイントを、シンプルに以下の通りまとめましたので、理解しておきましょう。
A. 法人の場合
What? (何を) | 各種税務関連資料の届出 |
When? (いつ) | 書類ごとに、会社設立後1ヶ月以内(※1)等、定められた期間内 |
Who? (誰が) | 「自ら実施(自製)」又は「税理士へ委託(外注)」 |
How? (方法) | 自製のケース:「e-tax」や「会社設立支援ITツール」など |
How long? (期間) | 作業時間:2時間程 |
How much? (費用) | 自製のケース:無料 外注のケース:数万円/月(※2) |
(※1)提出資料によって異なるが、「開給与支払事務所等の開設届出書」を事業開始から1ヶ月以内に提出する必要がある。
(※2)税理士と顧問契約等を締結し依頼する場合には、顧問料が毎月数万円生じる。
B. 個人事業主の場合
What? (何を) | 各種税務関連資料の届出 |
When? (いつ) | 書類ごとに、開業後1ヶ月以内(※1)等、定められた期間内 |
Who? (誰が) | 「自ら実施(自製)」又は「税理士へ委託(外注)」 |
How? (方法) | 自製のケース:「e-tax」や「会社設立支援ITツール」など |
How long? (期間) | 作業時間:2時間程 |
How much? (費用) | 自製のケース:無料 外注のケース:数万円/月(※2) |
(※1)提出資料によって異なるが、「開業届」を事業開始から1ヶ月以内に提出する必要がある。
(※2)税理士と顧問契約等を締結し依頼する場合には、顧問料が毎月数万円生じる。
「開業時の税務関連手続」タスク記事のまとめ
これから、「開業時の税務関連手続」タスクに関する手続きなどを説明します。
結論をまずは知りたい方のために、記事内容を簡潔にまとめます。
よろしくお願いいたします。
- 事前理解
(1)提出書類(法人のケース)
・一般的に、提出することが多い資料は以下の通り。
① 税務署へ提出する書類
– 法人設立届出書
– 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
– 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
– 青色申告の承認申請書
– 申告期限の延長の特例の申請書
② 自治体へ提出する書類
– 法人設立届出書(都道府県用)
– 申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認申請書(都道府県用)
– 法人設立届出書(市区町村用)
(2)提出書類(個人事業主のケース)
・一般的に、提出することが多い資料は以下の通り。
① 税務署へ提出する書類
– 個人事業の開業・廃業等届出書
– 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
– 所得税の青色申告承認申請書
– 青色事業専従者給与に関する届出書
② 自治体へ提出する書類
– 事業開始等申告書(都道府県用)
– 事業開始等申告書(市区町村用) - 事前準備
(1)会社登記完了(法人のケース) - 領域専門家
・税理士 - 利用サービス
・「e-tax」や「会社設立支援ITツール」など - 作業手順
Step 1(必要書類の特定)【30分程】
(1)申請にあたり必要となる書類の整理
Step 2(書類準備と提出)【2時間程】
(1)システム利用申請(電子申請を実施するケース)
(2)提出資料の作成
(3)資料提出
Step 3(申請控えの保管)【10分程】
(1)申請書類の控えを保管
なるほどです…
私はもう少し詳細に教えて欲しいので、解説をお願いします。
「開業時の税務関連手続」タスクの事前理解
法人は特に、「青色申告の承認申請書」提出期限やタイミングに留意
法人の場合における開業時に提出が必要な税務関連書類にはどのようなものがありますか?
税務関連の届出と聞くと、全て税務署へ提出する書類のように思われるかもしれませんが、市民税や事業税のように都道府県や市町村が課す税金もあるため、税務署に加え、都道府県や市町村に対しても提出が必要となる書類があります。主な提出資料は以下の通りです。
なお、以下は代表的な書類を列挙したものであり、消費税関連の届出など、網羅的に検討したい方は、税理士など専門家に相談しましょう。
# | 提出書類 | 提出先 | 提出期限(※) | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 法人設立届出書 | 所轄の税務署 | 設立登記日後2ヶ月以内 | 必須対応事項 |
2 | 給与支払事務所等の開設届出書 | 同上 | 設立登記日後1ヶ月以内 | 必須対応事項 |
3 | 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 同上 | 特になし(随時) | 源泉所得税の納期特例に関する申請。 月次から年2回に減らすことができるため、申請を推奨。 |
4 | 青色申告の承認申請書 | 同上 | 「設立登記日より3ヶ月以内」又は「最初の事業年度終了日」のいずれか早い方の前日 | 提出漏れの場合は、青色申告の各種特典を受けることができないため、要提出。 |
5 | 申告期限の延長の特例の申請書 | 同上 | 最初に適用を受けようとする事業年度の末日まで | 定款上、定時株主総会の開催時期が「毎事業年度末日の翌日から3ヵ月以内」となっている法人については、1ヶ月間の申告期限の延長が認められる。 |
6 | 法人設立届出書 (都道府県用) | 都道府県 | 各都道府県にて定められた期間内 | 東京都の場合は、事業開始日より15日以内に要手続。 |
7 | 申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認申請書 | 都道府県 | 最初に適用を受けようとする事業年度の末日まで | 定款上、定時株主総会の開催時期が「毎事業年度末日の翌日から3ヵ月以内」となっている法人については、1ヶ月間の申告期限の延長が認められる。 |
8 | 法人設立届出書 (市町村用) | 市町村 | 各市町村にて定められた期間内 | 東京都23区内で設立する場合には、No.6実施することにより完了(個別の対応は不要)。 |
ありがとうございます。
法人を設立した際に、税務関連の「どんな資料を」、「どこに」、「いつまでに」、提出しなければならないかがわかりました。
個人事業主は、「開業届」や「所得税の青色申告承認申請書」提出期限やタイミングに留意
次は、個人事業主の場合における、開業時に提出が必要となる代表的な税務関連書類になり、主な提出資料は以下の通りです。
なお、以下は代表的な書類を列挙したものであり、消費税関連の届出など、網羅的に検討したい方は、税理士など専門家に相談しましょう。
# | 提出書類 | 提出先 | 提出期限 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 個人事業の開業・廃業等届出書 | 所轄の税務署 | 開業後1ヶ月以内 | 必須対応事項 |
2 | 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 同上 | 特になし(随時) | 源泉所得税の納期特例に関する申請。 月次から年2回に減らすことができるため、申請を推奨。従業員を雇用しない場合でも、事業主自身やその家族に対して給与を支払う場合には必要になる。 |
3 | 所得税の青色申告承認申請書 | 同上 | 開業日から2ヶ月以内 | 提出漏れの場合は、青色申告の各種特典を受けることができないため、要提出。 |
4 | 青色事業専従者給与に関する届出書 | 同上 | その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内 | 青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする場合の手続。家族に業務を手伝ってもらうことを想定している場合には、対応が必要。 |
5 | 事業開始等申告書(個人事業税) | 都道府県 | 各都道府県にて定められた期間内 | 東京都の場合は、事業開始日より15日以内に要手続。 |
基本的には、法人の場合と同様になりますが、法人の場合に必要だった、「給与支払事務所等の開設届出書」は「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出でカバーされるため、不要です。
その一方で、「青色事業専従者給与に関する届出書」は個人事業主の場合のみ生じる書類となります。
ありがとうございます。
こちらも理解できました。
「開業時の税務関連手続」タスクの事前準備
「開業時の税務関連手続」タスクの事前準備には何が必要ですか?
当然ですが、法人の場合は、会社登記が完了していることが必要です。
一方、個人事業主の場合は、特に事前に準備すべきことはありません。
- 会社登記完了
会社登記完了
「会社設立」タスクについては、以下をご確認ください。
税務関連の代行手続きは税理士へ依頼
業務を外注する場合には、税理士以外にも依頼できるのですか?
いいえ、税務書類の作成代行などは税理士の独占業務とされておりますので、外注する場合には税理士にしか依頼はできません。
・税理士
自分で税務申請手続きを行う場合は、e-taxや法人設立ワンストップサービスを活用
「開業時の税務関連手続」タスクを自製する場合には、どのようなサービスを利用するとよいでしょうか?
オンライン申請で手続きを実施する場合には、「e-tax」又は「法人設立ワンストップナビ」のいずれかのサービスが挙げられます。
また、クラウド会計システムベンダー提供の会社設立支援ツール(freeeやマネーフォワードなど)については、必要書類の一部ナビゲーションはあるものの、資料の直接的なオンライン申請には対応していません。
外部リンク先
(商品/サービス概要)
・e-taxは、国税庁が提供するシステム。
・国税に関する各種手続についてインターネット等を利用して手続が行えるシステム。
・eLTAXとは、地方税共同機構が提供するシステムであり、地方税ポータルシステムの呼称。
・地方税における手続を、インターネットを利用して電子的に行うシステム(エルタックスと読む)。
「e-tax」と「法人設立ワンストップサービス」で、いずれが推奨されますでしょうか?
開業時だけでなく、開業後の税務手続もコストを最小限に自製しようと考えている場合には、この段階から積極的にe-taxの利用も検討されるのが宜しいかと思います。
「開業時の税務関連手続」タスクの作業手順
さて、本題となりますが、自製を前提とした場合の、「開業時の税務関連手続」タスクの作業について教えてください。
「開業時の税務関連手続」タスクの作業手順概略は以下の通りです。
作業手順概略
(1)申請にあたり必要となる書類の整理
(1)システム利用申請(電子申請を実施するケース)
(2)提出資料の作成
(3)資料提出
(1)申請書類の控えを保管
作業手順説明
Step 1(必要書類の特定)
まずは、申請にあたり今一度、書類の提出先をおさらいしましょう。
税務関連の資料の提出先は、以下の3か所(東京都23区の場合は、市町村を除く2か所)となります。
・税務署
・都道府県
・市区町村
わかりました。
そして、法人と個人事業主の場合で、一般的に提出すべき資料は、
上記の「事前理解」箇所にて列挙しておりますので、ご確認ください。
ふむふむ。だいぶクリアになってきました!
ちなみに、一般的に提出すべき資料以外で、提出を検討しておくべものはありますか?
消費税関連の届出については、会社の規模や業績見込み等に応じて事前に検討すべき点が多くあります。
こちらは、税理士などの専門家へ、必要に応じて相談しましょう。
分かりました!そのようにします!
Step 2(書類準備と提出)
(1)システム利用申請(電子申請を実施するケース)
ご紹介頂いた、「e-tax」と「法人設立ワンストップナビ」で、事前に準備すべき事項がわかるマニュアルなどはありますか?
「法人設立ワンストップナビ」の利用のためには、マイナンバーカードが必須となります。
「e-Tax」をご利用を希望される方は、まずは、所轄の税務署に”電子申告等開始届出書”を提出する必要があります。
“電子申告等開始届出書”はインターネットを利用してオンラインで提出できます(書面での提出も可能)。
以下のリンク先より、ご確認ください。
外部リンク先(利用者識別番号の取得 | 国税庁)
なお、e-taxをPCで利用するには、ICカードリーダライタが必要な場面があります。今後、税理士に業務を外注する予定のない方は、こちらは、別途購入しておきましょう。
外部リンク先(ICカードリーダライタ | 地方公共団体情報システム機構)
(2)提出資料の作成
提出すべき資料が多いためここでの詳細解説は控えますが、各資料について、国税庁が公表する記載例やインターネット上で参考となる情報などをもとに作成してみましょう。
もし不明点等あれば、税務署へ電話問い合わせを行うことも可能です。
(3)資料提出
e-taxで申請した場合には申請履歴がe-taxシステム上に残るものの、税務署へ持参した場合や郵送する場合には、納税者側より控え分を持参(郵送)する必要がありますので、留意してください。
郵送の場合には、返信用封筒と切手も必要となります。
Step 3(申請控えの保管)
届出書を申請した後に実施すべきことはありますでしょうか?
税務署へ持参や郵送で資料を提出した場合、控え資料は、しっかりとファイルに保管しておきましょう。
また、法人設立ワンストップナビで提出した場合は、提出直後に控えをダウンロードすることができます。
おわりに
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