「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクのポイント
まずは、「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクの全体像をざっと理解したいです。
はい、分かりました。
「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクの全体的なポイントを、
シンプルに以下の通りまとめましたので、理解しておきましょう。
What? (何を) | 事業計画書の作成や各種申請作業 |
When? (いつ) | 期限なし(※1) |
Who? (誰が) | 「各自で作業(自製)」 又は 「専門家(認定支援機関 等)へ委託(外注)」 |
How? (方法) | 自製のケース:「事業再構築補助金公式サイト」や「ミラサポplus」などを参考に自製 外注のケース:「認定経営革新等支援機関検索システム」などを利用して専門家へ外注 |
How long? (期間) | 作業時間:2週間~1ヶ月程 採択~補助金入金までの期間:半年~1年程 |
How much? (費用) | 自製のケース:無料 外注のケース:数十万円~数百万円(※2) |
(※1)投資の必要性などを鑑みて、必要な時期に適宜実施。
(※2)成功報酬モデルを採用し、「着手金 + 成功報酬(採択額(補助額)の●%など)」といった採択金額に応じて報酬が増加するケースが多い。
「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスク記事のまとめ
これから、「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクに関する手続きなどを説明します。
結論をまずは知りたい方のために、記事内容を簡潔にまとめます。
なお、事業再構築補助金制度は随時更新がかかりますので、必要に応じて、最新の公募要領等の情報を確認ください。
よろしくお願いいたします。
- 事前理解
(1)事業再構築補助金とは?
・新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応する事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金。
(2)補助対象経費
・建物費、機械装置・システム構築費、外注費、広告宣伝費 など
(3)補助額/補助率
・最大で100万円~5億円(枠、従業員数などの種類に応ず)
・補助率は1/2~3/4(枠、従業員数などの種類に応ず)
(4) スケジュール
・事業再構築補助金申請から採択を経て実際に補助金が入金されるまで、半年~1年間程
(5) 採択率
・申請回によって変動があるものの、直近の全体平均採択率(※1)は、約50%前後で推移。
(※1)申請枠により、採択率が異なるため留意
(6) 事前着手制度
・事前着手制度の活用により、「最低賃金枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」、「サプライチェーン強靱化枠」に限り、採択前の補助事業開始(契約や支払行為)が可能となる
(7) 事業再構築補助金活用時の留意点
① 後払いの性質
・後払い制となっているため、補助金受給前に事業資金を全て用意する必要があることに留意が必要。
② 経費支出時期が限定
・事業実施期間が定められており、通常は、交付決定後から最大で12ヶ月間となる。事業実施期間以外に支出した経費は認められず、結果的に、補助金が採択されたが補助金を受けられないため留意が必要。
③ 適切な証憑準備など事務処理の正確性
・事業実施期間終了後、一定期間内に実施報告書や支払関連証憑等を提出する必要がある。マニュアルに沿った提出書類が不十分の場合、支払が拒否されることがあるため留意が必要。
④ 税金(課税対象となる)
・通常。法人の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税の課税対象となる。 - 事前準備
(1) gBizIDの取得【10分程】
・gBizIDプライムの申請及び取得
(2) 申請要件の確認【20分程】
・申請要件をチェックし、申請可否を確認 - 領域専門家
・「顧問税理士」や「認定支援機関」など - 利用サービス
・自製のケース:「ミラサポplus」、「事業再構築補助金総合サイト」など
・外注のケース:「認定経営革新等支援機関検索システム」など を活用した認定支援機関への外注 など - 作業手順
Step 1(公募申請)【1~2週間程】
(1)事業計画書の策定
(2)各種書類等の電子申請
Step 2(交付申請及び補助事業の実施)【1週間程】
(1)採択後に交付申請
(2)交付決定後に補助事業の実施
Step 3(実績報告及び入金)【数時間】
(1)実績報告を実施し、補助金入金
なるほどです…
私はもう少し詳細に教えて欲しいので、解説をお願いします。
「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクの事前理解
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金とは、どのような制度か教えてください。
事業再構築補助金について、以下をご参考にしてください。
・新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要。
・また、昨今、物価高騰等の影響を受ける事業者の支援を行うことも重要な課題。
・そのため、新分野展開、事業転換、業種転換などの思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金。
補助対象経費
どのような経費が補助されますか?
建物費、機械装置の購入、システム購入といった固定資産への投資や、
広告宣伝費などが対象となります。
・建物費、機械装置・システム構築費、外注費、広告宣伝費などが補助対象となる。
ものづくり補助金では”建物費”は対象外でしたが、事業再構築補助金では”建物費”は補助対象経費となります。
補助額/補助率
ちなみに、どのくらいの金額が補助されますか?
以下は「事業再構築補助金(第10回)」の制度概要(※1)になります。
「物価高騰対策・回復再生応援枠」や「産業構造転換枠」など いくつかの枠があり、枠に応じて補助額や補助率が異なります。
補助額や補助率は以下をご参照ください。
(※1)申請回によって変更が生じる可能性があるため、最新の情報を要確認。
・最大で100万円~5億円の補助(枠の種類などに応ず)
・補助率は1/2~3/4(枠の種類などに応ず)
事業再構築補助金(第10回)より、制度内容が大幅改定され、「成長枠」、「産業構造転換枠」、「サプライチェーン強靱化枠」といった新枠が追加されております。ご自身の会社がどの枠に該当するのかについては、経済産業省公表のリーフレットや、必要に応じて認定支援機関等の専門家へ確認しましょう。
スケジュール
補助金の申請から実際の入金までかなり時間がかかると聞いたことがありますが実際のところどうなのでしょうか。
事業再構築補助金補助金の申請に関する一般的なスケジュールを教えてください。
以下の、「事業再構築補助金の概要(令和5年3月30日)」(※1)に記載されているスケジュールをご覧ください。
採択から実績報告まで、約1年程要します。実務上も、採択から補助金入金まで1年程要している会社が多い印象です。
(※1)申請回によって変更が生じる可能性があるため、最新の情報を要確認。
・事業再構築補助金の採択から補助金が実際に入金されるまで、一般的に、1年程の期間を要する。
採択率
事業再構築補助金の全体の採択率については、直近では50%程度で推移しています。
申請回 | 第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 | 第6回 | 第7回 | 第8回 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
採択率(全体) | 36% | 45% | 44% | 45% | 46% | 50% | 51% | 51% |
事前着手申請(事前着手制度)
通常、補助金制度は申請書類が採択され交付決定がなされた後の支出しか経費として認められません。
一方で、事業再構築補助金については「事前着手制度」という制度が設けられており、事前着手申請を受けて承認された場合には、採択及び交付決定前での支出が認められます。
※ただし、事前着手制度が認められるのは、「最低賃金枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」、「サプライチェーン強靱化枠」のみ
なるほど!でも、なぜ「事業再構築補助金」だけそのような特例が設けられているのですか?
事業再構築補助金については、コロナの影響や急速な物価高の影響などで事業再構築の『緊用性』といったニーズが高いため、このような特例が設けられています。
ちなみに、事前着手の承認を受けたものの、事業計画書の採択がなされなかった場合にはどうなるのですか?
この場合には、補助金が下りませんので、実費で全て賄い事業を行う必要があります。
※不採択の場合でも、次回以降に再チャレンジは可能です
分かりました!
活用時の留意点
① 後払いの性質
・後払い制となっている。
・例えば、総額300万円の事業で2/3の補助がある場合は、まず自社資金(自己資金や借入など)で300万円を支出する必要があり、200万円は事業期間終了後の受給となる。
・よって、補助金受給前に事業資金を全て用意する必要があることに留意が必要。
② 経費支出時期が限定
・事業実施期間が定められている。
・よって、事業実施期間以外に支出した経費は認められず、結果的に、補助金が採択されたが補助を受けられないこともあるため留意が必要。
③ 適切な証憑準備など事務処理の正確性
・事業実施期間終了後、一定期間内に実施報告書や支払関連証憑等を提出する必要がある。
・マニュアルに沿った提出書類が不十分の場合、支払が拒否されることがあるため留意が必要。
④ 税金(課税対象となる)
・通常、事業主が法人の場合は法人税、個人事業主の場合は所得税の課税対象となる。
「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクの事前準備
「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクの事前準備には何が必要ですか?
「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクでは、以下の2つの対応が必要になります。
- gBizIDの取得
- 申請要件の確認
それぞれの項目について、以下で解説します。
gBizIDの取得
事前に、gBizIDを取得(※1)しておきましょう。
(※1)他のタスクで「gBizIDの取得」を既に準備されている方は重複する内容のため、改めての対応は不要
・社会保険手続や補助金、助成金申請などの行政手続をインターネット上で行うための「共通認証システム」。
・IDの取得は無料なため、早めに取得しておくことが望ましい。
必要な時にすぐ利用できるよう、時間に余裕のあるうちに早めに取得しておきましょう。
・gBizIDは、「gBizIDプライム」、「gBizIDメンバー」、「gBizIDプライムエントリー」などいくつかの種類があるが、活用範囲が一番広い「gBizIDプライム」を取得しておくこと。
・手続きは10分程度で完了し、書類に問題がない場合は1週間程度でアカウントが発行される。
外部リンク先(GbizID HP | デジタル庁)
以下より、gBizIDを取得しましょう。
取得方法が分かるマニュアル的なものはありますか?
以下のリンク先の、「GビズID クイックマニュアルgBizIDプライム」をご覧ください。
外部リンク先(GbizID HP | デジタル庁)
申請要件の確認(個人事業主も申請可能)
どのような会社が、事業再構築補助金を申請できますか?
事業再構築補助金の補助対象者は「中小企業者」であり、資本金又は従業員数で判断されます。
また、「最低賃金枠」及び「物価高騰対策・回復再生応援枠」については、売上高減少要件等を充足する必要があります。
なお、実際の申請要件等については、公募要領等を確認するようにしてください。
・事業再構築補助金申請者は、中小企業者である必要があるが、通常、一人会社などの小規模会社の場合は要件を満たすケースが多い。
・中小企業者の定義は、以下の表を参照。
・また、「最低賃金枠」及び「物価高騰対策・回復再生応援枠」については、「2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している」といった売上高減少要件等も充足する必要がある(成長枠(旧「普通枠」における売上高減少要件は撤廃された))。
専門家(認定支援機関)へ補助金申請代行を依頼
事業再構築補助金の支援を外注する場合には、どのような専門家に依頼すべきですか?
事業再構築補助金は事業計画書の策定を中心に、相応の労力を要するため、本業に集中したい方など、認定支援機関など専門家へ外注する方が多くいらっしゃいます。
事業再構築補助金においては、「認定支援機関確認書」が必要になるため、認定支援機関へ事業計画書の作成代行などを依頼される事業者が多いです。
・「顧問税理士」や「認定支援機関」など
認定支援機関については、以下をご参考にしてください。
・認定支援機関(認定経営革新等支援機関)とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関(税理士法人、公認会計士、税理士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)。
「認定経営革新等支援機関検索システム」を活用して認定支援機関を検索
「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクを実施するために参考となるサービスを教えてください。
以下、ご確認ください。
利用サービス(自製のケース)
・例えば、中小企業庁が公表している事業再構築補助金公式サイトにおける、『採択事例紹介「事業計画書」』などが参考となる。
外部リンク先(事業再構築補助金公式サイト 採択事例紹介「事業計画書」 | 中小企業庁)
利用サービス(外注のケース)
専門家(認定支援機関)へ外注する場合には、中小企業庁の認定経営革新等支援機関検索システムを活用して認定支援機関を探してみましょう。
・中小企業庁の認定経営革新等支援機関検索システム等を活用
外部リンク先(認定支援機関検索 | 中小企業庁)
「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクの作業手順
さて、本題となりますが、 「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクを自製する場合の作業について教えてください。
「補助金/助成金(事業再構築補助金)」タスクの作業手順概略は以下の通りです。
作業手順概略
(1)事業計画書策定
(2)各種書類等の準備/電子申請
(1)採択後に交付申請
(2)交付決定後に補助事業の実施
(1)実績報告を実施し、補助金入金
作業手順説明
Step 1(電子申請)
(1)事業計画書策定
補助金申請にあたり、まずは、事業計画書を作成する必要があります。
事業計画書自体の作成に1週間以上は要すると思います。
事業計画書作成時のポイントを教えてください。
以下にポイントをまとめましたので、ご確認ください。
① 審査項目との整合性
・審査員は、公表されている審査項目に沿って審査を行う。よって、どんなに精緻な事業計画書を作成したとしても、審査項目に対応する記載がない場合には点数が伸びないため、しっかりと審査項目を満たすことが重要。審査項目は「公募要領」などに記載されているため、必ず最新の資料を確認すること。
② 加点要素の獲得
・申請回によって変更はあるものの、事業再構築補助金には「加点項目」がある。作業や添付書類などの一手間はかかるものの、取得可能な加点条件を一つずつ地道に充足することで、採択を可能性高めることができる。加点項目は「公募要領」などに記載されているため、必ず最新の資料を確認すること。
③ 申請枠の見極め
・申請枠により採択率や補助金額等が異なるため、自社事業に最も有利な採択枠を選ぶこと。
④ 専門家からのアドバイス
・よろず支援拠点や商工会議所・商工会等への相談は基本的に無料で行うことができるため、自身で作成した事業計画書を第三者目線でアドバイスを受けるとよい。
外部専門家の検索サイト(ミラサポplus 支援者・支援機関を探す | 経済産業省(中小企業庁))
事業再構築補助金事業計画書の採択事例がいくつか公表されていますので、ご参考ください。
外部リンク先(事業再構築補助金公式サイト 採択事例紹介「事業計画書」 | 中小企業庁)
(2)各種書類等の準備/電子申請
事業計画書を自分で作成できるか不安ですが、必要に応じて専門家の助言も頂きながら頑張ってみます。
次に、電子申請を行うと思いますが、電子申請時のマニュアルなどありますか?
電子申請時のマニュアルは以下を確認ください。
外部リンク先(事業再構築補助金公式サイト 電子申請 | 中小企業庁)
・申請マニュアルをしっかり読んで、忠実に再現すること。
・疑問点などがあれば、事務局サポートセンターへ電話で確認を実施。
Step 2(交付申請)
(1)採択後に交付申請
補助金については、事業計画の”採択”はあくまでスタートラインです。
交付申請フェーズにおいて、経費の相見積もりの取得などを行い、事務局へ交付申請を行う必要があります。
交付申請時のマニュアルなどありますか?
交付申請時のマニュアルは以下を確認ください。
外部リンク先(事業再構築補助金公式サイト採択後の流れ・資料 | 中小企業庁)
・申請マニュアルをしっかり読んで、忠実に再現すること。
・疑問点などがあれば、事務局サポートセンターへ電話で確認を実施。
(2)交付決定後に補助事業の実施
Step 3での実績報告時のマニュアルを事前に確認し、実績報告時に手戻りが無いようにしておきましょう。
Step 3(実績報告)
ここまでで四苦八苦ですが…
実績報告時のマニュアルなどありますか?
実績報告時のマニュアルは以下を確認ください。
実績報告後、事務局で「確定検査」が行われ、補助金の交付額が最終決定します。
その後、事業者で「補助金の精算払い請求」をすると、約1~2週間程度でようやく補助金が入金されます!
外部リンク先(事業再構築補助金公式サイト採択後の流れ・資料 | 中小企業庁)
・申請マニュアルをしっかり読んで、忠実に再現すること。
・疑問点などがあれば、事務局サポートセンターへ電話で確認を実施。
おわりに
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