「会社設立」タスクのポイント
まずは「会社設立」タスクの全体像をざっと理解したいです。
はい、分かりました。
「会社設立」タスクの全体的なポイントを、
シンプルに以下の通りまとめましたので、理解しておきましょう。
What? (何を) | 定款認証及び会社登記 |
When? (いつ) | 営業開始の目途も考慮し、最適な時期に実施 |
Who? (誰が) | 「各自で作業(自製)」 又は 「専門家(司法書士や行政書士 など)へ委託(外注)」 |
How? (方法) | 自製のケース:会社設立支援ITツール など |
How long? (期間) | ・作業時間(自製のケース):4時間程 ・定款作成~会社登記までの期間:2週間程(※1) |
How much? (費用) | <株式会社のケース> 約20万円(※2) <合同会社のケース> 6万円(※3) |
(※1)定款作成及び会社登記手続完了までの時間(事前準備期間は含まない)。
(※2)定款認証手数料(3~5万円)と登録免許税(最低15万円)が主な費用。ただし紙定款の場合は、追加で4万円生じる。その他、主に、印鑑製作費用や専門家代行手数料等が別途生じる。
(※3)登録免許税(最低6万円)。その他、主に、印鑑製作費用や専門家代行手数料等が追加で別途生じる。
「会社設立」タスク記事のまとめ
これから、「会社設立」タスクに関する手続きなどを説明します。
結論をまずは知りたい方のために、記事内容を簡潔にまとめます。
よろしくお願いいたします。
- 事前理解
(1)会社とは?
・会社とは、事業を行い、営利(利益)を上げることを目的とした法人のこと。
・「株式会社」と「持分会社」の2つに大別され、「持分会社」はさらに、「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」の3つで構成される。それぞれの会社の種類の説明は以下の通り。
- 株式会社:
株式を発行して資金を集めて設立される会社形態。株主は出資額を上限とする有限責任を負う(有限責任)
- 合同会社:
有限責任社員のみで構成される会社形態(有限責任)
- 合資会社(※1):
無限責任社員と有限責任社員とで構成される会社形態(無限/有限責任)
- 合名会社(※1):
無限責任社員のみで構成される会社形態(無限責任)
(※1) 実務において活用されるケースは少ない。
(2)株式会社と合同会社のメリット・デメリット
<1. 株式会社のケース>
【メリット】
- 最も一般的な会社形態
- 信用力が相対的に高い
- 第三者からの資金調達等も比較的容易であり、将来の事業拡張可能性を有する など
【デメリット】
- 登録免許税等設立コストが相対的に高い
- 取締役会や株主総会等といった法令で規定される手続が相対的に多く、管理コストが相対的に高い など
<2. 合同会社のケース>
【メリット】
- 株式会社同様、有限責任であるためリスクを抑えることができる
- 株式会社に比べ、設立コストや管理コストが相対的に低い
- 法令で規定される手続が相対的に少ないため、自由度の高い運営を行うことができる など
【デメリット】
- 相対的に信用力が低い
- 株式会社と比較して、閉鎖的な会社形態になるため、資金調達や譲渡性面で劣る など
(3)会社設立タイミング
- 個人所得が800万円以上(目安)の場合
- 意欲的/継続的に事業拡大を図っていきたいと考えている場合 など
(4)会社設立費用
- 株式会社の場合:約20万円 + 諸経費(印鑑製作費用や専門家代行手数料等)
- 合同会社の場合:6万円 + 諸経費(印鑑製作費用や専門家代行手数料等)
- 個人事業主の場合:諸経費(印鑑製作費用や専門家代行手数料等) - 事前準備
(1)定款記載事項の整理【30分程】
- 社名(商号)の決定
- 資本金額の決定
- 設立時株主及び出資割合の決定
- 設立時役員の決定
- 登記場所の決定
(2)印鑑(会社印)の製作【1時間程】
・会社登記のために、会社印が印鑑3点セット/4点セットを事前準備しておくこと。
(3)本店所在地(オフィス)の決定【30分程】
・定款には、市区町村などの最小行政区画までの記載で良いものの、登記申請においては、番地や住居番号まで含めた形で記載する必要がある。
・そのため、登記申請の段階までに、オフィス契約締結や内諾を得ておいた方が良い。 - 領域専門家
・司法書士、行政書士 - 利用サービス
・自製のケース:会社設立支援ITツール - 作業手順
Step 1(利用ツールの選択)【10分程】
(1)「会社設立支援ITツール」の利用登録
Step 2(定款作成/認証)【2時間程】
(1)定款作成/専門家レビュー
(2)公証人役場へ予約連絡(※1)
(3)公証人役場で定款認証(※1)
(※1) 合同会社設立の場合は不要
Step 3(登記準備/申請)【2時間程】
(1)資本金の振込み
(2)登記書類の準備
(3)法務局へ提出
なるほどです…
私はもう少し詳細に教えて欲しいので、解説をお願いします。
「会社設立」タスクの事前理解
会社とは?
そもそも、会社とは何でしょうか?
また、会社にはどのような種類があるのでしょうか?
まずは、会社の定義です。
・会社とは、事業を行い、営利(利益)を上げることを目的とした法人のこと。
・“株式会社”と”持分会社”の2つに大別され、“持分会社”はさらに、”合同会社”、”合名会社”、”合資会社”の3つで構成される。
次に、会社の種類については、以下をご確認ください。
① 株式会社
・株式を発行して資金を集めて設立される会社形態。 出資額を上限とする有限責任を負う出資者(株主)と、実際に会社を経営する経営者(取締役)が分離しており、取締役は株主総会で選定される(有限責任)。
・ただし、一人会社の場合には、出資者と経営者は一体であることが多い。
② 合同会社
・有限責任社員のみで構成される会社形態。
・会社が債務を完済できなかった場合でも、合同会社の社員が債権者に対して弁済する義務を負わない(有限責任)。
③ 合名会社
・会社の債務を弁済する責任を直接に、かつ、無制限に負うことになる、無限責任社員のみで構成される会社形態。
・会社が債務を完済できなかった場合、構成員の個人資産も弁済にあてなければならない可能性がある(無限責任)。
・実務において活用されるケースは少ない。
④ 合資会社
・無限責任社員と責任が一定額に限定される有限責任社員とで構成される会社形態。
・会社が債務を完済できなかった場合、無限責任社員の個人資産も弁済にあてなければならない可能性がある。
・ただし、有限責任社員は一定額を上限とする弁済責任を負う。
・実務において活用されるケースは少ない。
以下のポイントをご認識ください。
・会社の種類としては4つあるが、設立実態としては、”株式会社”と”合同会社”とで大方占められている状況。
株式会社と合同会社のメリット・デメリット
ありがとうございます。
株式会社か合同会社かですね。
ふむふむ…ちなみに、僕はどちらの種類で登記すべきですか?
それでは、株式会社と合同会社のメリット・デメリットを説明します。
会社形態 | メリット | デメリット |
---|---|---|
株式会社 | 最も一般的な会社形態であり、信用力が相対的に高い。 株式を発行することで第三者からの資金調達が比較的容易に行える等、将来の事業拡張可能性を有する。 第三者へ株式譲渡することで事業継続の選択肢が広がる。 | 登録免許税等設立コストが相対的に高い。 取締役会や株主総会等といった法令で規定される手続が相対的に多く、管理コストが相対的に高い。 |
合同会社 | 株式会社同様有限責任であるため、リスクを抑えることができる。 株式会社に比べ、設立コストや管理コストが相対的に低い。 法令で規定される手続が相対的に少ないため、自由度の高い運営を行うことができる。 | 相対的に信用力が低い。 株式会社と比較して、閉鎖的な会社形態になるため、資金調達や譲渡性面で劣る。(将来的に上場を目指している場合には株式会社での設立を推奨) |
だいぶ理解が深まりました。
もう1つ悩んでいるとして、今、会社を設立すべきなのかという点があるのですが、アドバイスを頂けないでしょうか。
会社設立タイミング
会社設立のタイミングですね、わかりました。
最終的な判断は、個々人の状況で異なりますし、案外、気持ちの面が重要な気がします。
それ以外に考慮すべき点としては、税金面と事業面の大きく2つがありますので、以下をご確認ください。
① 税金面
・所得税率は5%~45%までの累進課税である一方、法人税率は23.2%(※1)と一定である。
・そして、所得税率が法人税率と同程度になる所得レンジは、「約700万円~800万円」であり、それ以上になると、所得税率が法人税率を上回ることになる。
(※1)普通法人の法人税率は23.2%。ただし、資本金1億円以下の法人の場合、年800万円以下の部分に係る法人税率は、通常は15%となる。
② 事業面
・個人事業の場合、「個」の色が強い中で事業運営を行うことから、個人のライフサイクルの影響を受けてしまう可能性が相対的に高い。
・そのため、将来的に上場を目指している等、第三者から資金調達等を行い、積極的に業務拡大を進めていこうと考えている場合や、自分の代だけでなく、その先の将来を見据えて事業を継続していきたいと考えている場合には、法人形態での運営が望ましい。
簡単にまとめると、以下の通りです。
・個人所得が800万円程度ある場合や、将来的に上場を目指しているなど意欲的に事業拡大や事業継続を図っていきたいと考えている場合には、会社設立の選択肢を要検討。
メモメモ…
会社設立費用
ちなみに、会社設立にはどのくらいの費用がかかりますか?
以下にまとめましたので、ご覧ください。
ちなみに、個人事業主で開業する場合には、印鑑製作費用や専門家代行手数料が生じる場合を除いて、通常は費用は掛かりません。
<株式会社のケース>
・約20万円
・内訳は、定款認証手数料(3~5万円)と登録免許税(最低15万円)が主な費用。ただし紙定款の場合は、追加で4万円生じる。その他、主に、印鑑製作費用や専門家代行手数料等が別途生じる。
<合同会社のケース>
・6万円(登録免許税)
・その他、主に、印鑑製作費用や専門家代行手数料等が追加で別途生じる。
「会社設立」タスクの事前準備
「会社設立」タスクの事前準備には何が必要ですか?
「会社設立」タスクの事前準備として、以下が必要です。
- 定款記載事項の整理
- 印鑑(会社印)の製作
- オフィスの決定
定款記載事項の整理
会社設立タスクの主な作業の一つは定款作成になります。
定款作成に必要な項目については、事前に検討、準備されることが望ましいです。
具体的には、以下に記載した事項は、事前に決定しておきましょう。
- 社名(商号)の決定
- 資本金額の決定
- 株主及び出資割合の決定
- 役員の決定
- 登記場所の決定
このあたりを事前に検討した上で、会社設立タスクに移行されるとスムーズに手続を進めることができます。
ありがとうございます。
何となく頭の中では考えていましたが、改めて会社設立手続前に整理しようと思います。
① 社名(商号)の決定
・『国税庁 法人番号公表サイト』で、同一市町村内での同じ商号がないことを確認。
② 資本金額の決定
・法人の場合には、最低100万円以上の資本金を目指して準備するのが望ましい。
③ 設立時株主及び出資割合の決定
・一人会社の場合は、代表者(=株主)が100%所有のケースが多い。
④ 設立時役員の決定
・一人会社の場合は、代表一人が役員のケースが多い。
⑤ 登記場所の決定
・定款には、市区町村などの最小行政区画までの記載で良く、番地や住居番号まで含める必要は無い。
・よって、よほどの事情が無い限りは、最低限の記載とする方が望ましい。
- 東京都23区の場合:東京都中央区
- 政令指定都市の場合:福岡県福岡市
- 市町村の場合:岡山県倉敷市、東京都八王子市、東京都大島町
① 社名(商号)の決定
『国税庁 法人番号公表サイト』で、同一市町村内での同じ商号がないことを確認します。
詳細は、以下の記事をご参考にしてください。
外部リンク先(法人番号公表サイト | 国税庁)
② 資本金額の決定
・銀行口座開設時の審査を見据え、法人設立の資本金は、100万円以上を目指すのが望ましい。
③ 設立時株主及び出資割合の決定
・一人会社の場合は、代表者(=株主)が100%所有のケースが多い。
・自分以外のその他株主がいる場合には、創業株主間で出資割合を事前に協議しておくこと。
今後、会社を大きくして事業売却などを予定している場合には、創業時から資本政策を検討しておく必要があります。
詳細は、以下の記事をご参考にしてください。
④ 設立時役員の決定
・設立時役員は、定款記載事項のため、事前の検討が必要。
・一人会社の場合は、代表者(=株主)が代表取締役(代表社員)となり、一人役員のケースが多い。
・また、登記簿謄本において、役員氏名は公表されるため、役員を任命する場合には留意が必要(出資者(株主)の情報は、登記簿謄本で公表されない)。
⑤ 登記場所の決定
・定款には、市区町村などの最小行政区画までの記載で良く、番地や住居番号まで含める必要は無い。よって、よほどの事情が無い限りは、最低限の記載とする方が望ましい。
(記載例)
- 東京都23区の場合:東京都中央区
- 政令指定都市の場合:福岡県福岡市、神奈川県横浜市
- その他市町村の場合:岡山県倉敷市、東京都八王子市、東京都大島町
印鑑(会社印)の製作
会社登記と併せて印鑑登録を行う必要があるため、会社登記申請までに印鑑(会社印)が必要です。
詳細は、以下の記事をご参考にしてください。
オフィスの決定
オフィスについては、登記申請書に「本店所在地(住所)」を記載する必要があります。
詳細は、以下の記事をご参考にしてください。
・登記申請書には、本店所在地を番地や住居番号まで含めた形で記載する必要がある。
・よって、登記申請の段階までに、オフィス契約締結や内諾を得ておいた方が良い。
定款と登記とでは、本店所在地の記載方法が異なる点がポイントになります。
・定款には、市区町村などの最小行政区画までの記載で良く、番地や住居番号まで含める必要は無い。
・一方、登記申請においては、番地や住居番号まで含めた形で記載する必要がある。
(東京都23区で起業する場合の記載例)
- 定款:東京都中央区
- 登記申請書:東京都中央区●丁目●-● ●●ビル×階
「会社設立」登記申請は、司法書士や行政書士等の専門家へ相談
「会社設立」タスクに関連する業務を外注する場合には、どのような専門家へお願いするのがよいでしょうか?
司法書士や行政書士が該当します。
ちなみに、会社登記の申請代理で報酬を得ることができるのは司法書士のみです。
行政書士は、定款作成業務について代理する権限がありますが、法務局に申請する書類作成代理権は認められていません(一般的には、司法書士と連携などを行いサービス提供を行う)。
よって、行政書士へ会社設立をお願いする際には、自分自身で登記申請を行う必要があるのか、登記申請まで含めて業務をお願いできるのかを確認しておきましょう。
・司法書士や行政書士 など
会社設立freeeや法人設立ワンストップサービス等を活用
会社設立を自製するハードルは高そうな気もしますが、一人で実施する際に利用可能な便利なサービスはありますか?
民間サービスでは、クラウド会計システムベンダー提供の会社設立支援ツールの活用は便利です。
ツールの手順に沿って、必要な情報を入力していくことで登記申請の準備の多くを完了させることができます。
また、デジタル庁より、「法人設立ワンストップサービス」が提供されており、マイナンバーカードを活用し、法人設立関連手続きをワンストップで行うことができます。
ただし、こちらは、サービスリリースからそれほど時間が経過していないこともあり、改善点も多いツールだと感じる面もあります…
今後の改善に期待です。
・「クラウド会計システムプベンダー提供の会社設立支援ツール」や「法人設立ワンストップサービス(デジタル庁)」などのサービス。
「会社設立」タスクの作業手順(会社設立の流れ)
さて、本題となりますが、「会社設立」タスクを自製する場合の作業について教えてください。
「会社設立」タスクの作業手順概略は以下の通りです。
作業手順概略
(1)「会社設立支援ITツール」の選択/利用登録
(1)定款作成/専門家レビュー
(2)公証人役場へ予約電話【合同会社設立の場合は不要】
(3)公証人役場で定款認証【合同会社設立の場合は不要】
(1)登記関連資料の準備
(2)窓口もしくは電子申請経由で書類を提出
作業手順説明
Step 1(利用ツールの選択)
もし自製を行う場合の、おすすめの利用ツールはありますか?
民間サービスとして、クラウド会計システムベンダー提供の会社設立支援ツールを活用する方が多いです。また、無料サービスとしては、デジタル庁より、「法人設立ワンストップサービス」が提供されており、マイナンバーカードを活用し、法人設立関連手続きをワンストップで行うことができます。
外部リンク先(会社設立支援ITツール)
(商品/サービス概要)
・累計会社設立数が3万社以上と最も利用されている、freeeが提供する会社設立サービス。
Step 2(定款作成/認証)
次に、定款作成から定款認証までの流れを説明します。
作業の全体的な進め方は以下の通りですが、合同会社の場合は、定款の認証は不要になるため、以下のTask 2~3 は省略となります。
(1)定款を作成し、専門家(司法書士や行政書士等)のレビューを受ける。
(1)公証人役場に連絡し、訪問日時を決定する。
(1)公証人役場に訪問し、公証人による定款認証を受ける。
【Task 1(定款作成/専門家レビュー)】
定款作成に際して決めておくべき事項は何ですか?
定款作成時の留意事項を以下に簡単に記載しておりますので、参考にしてください。
クラウド会計システムベンダー提供の会社設立支援ツールを活用する場合には、提携先の司法書士や行政書士に、定款の内容を確認していただけます。
① 商号(例:●●株式会社)
- 類似商号調査を忘れずに。
② 住所(例:東京都中央区)
- 市区町村などの最小行政区画までの記載でOK。
③ 連絡先(例:●●●-●●●●-●●●●)
- 個人の携帯電話番号でもOK。
④ 役職(例:代表取締役)
- 株式会社の場合には、代表取締役。
- 合同会社の場合には、代表社員。
⑤ 資本金(例:300万円)
- 100万円以上が望ましい。
⑥ 発行株式数(例:1万株)
- 将来、株式売却を予定しているような場合は、1万株(0.01%単位で調整可能)など細かく設定したほうが良い。
⑦ 発行可能株式総数(例:4万株)
- 公開会社では、発行株式数の4倍以内に設定する必要がある。
- 非公開会社の場合には、発行可能株式総数の上限規定はないが、一般的には、10倍程度とすることが多い。
- 十分な発行可能株式総数の枠がない場合、新株発行できる株式数が少なくなってしまう。
- 発行可能株式総数以上に株式を発行したい場合には、発行可能株式総数の変更のための変更登記が必要。
⑧ 取締役会の設置(例:取締役会を設置しない)
- 一人会社では、通常、「取締役会を設置しない」ケースとなる。
- 取締役会を設置する場合、「取締役3名以上」と「監査役もしくは会計参与1名以上」の、4人以上の役員が必要。
⑨ 取締役の任期(例:3年)
- 2~5年のケースが一般的。一方、一人会社の場合には、10年のケースも多い。
- 任期満了により退任した役員が再び就任する場合には登記変更申請が改めて必要になる。
⑩ 事業内容(例:コンサルティング事業)
- 許認可が必要となる事業の場合は、許認可要件を意識した「目的」を記載する必要がある(有料職業紹介事業などの許認可取得時に、定款目的の記載の変更が必要になる場合などあるため)。
- 記載の最後に、「前号に付随又は関係する一切の業務」という文言を忘れずに。
⑪ 決算期(例:10月)
- 基本的には、会社設立日の前月を決算月とするのが良い。
– 例えば、2022年11月10日に登記申請を行う場合には、10月末決算とする。
- また、丸1年になるように決算日を定める場合、消費税免税期間を最長にできる。(※1)
(※1)適格請求書発行事業者の登録(いわゆるインボイス制度)を行う場合、登録日から課税事業者として取扱われる点に留意。
⑫ 公告方法(例:官報に掲載)
- 以下の3つの方法が認められる。
1. 官報:政府の発行する新聞のようなもの。掲載料は7万円~生じる。
2. 日刊新聞紙:日経新聞等の一般紙。官報より高いため、採用されることはあまりない。
3. 電子公告:自社HP等での公告。サーバー代やドメイン代しか必要ないため、値段的には一番安い。(※2)
– 大多数の会社が、公告方法として”官報”を選択しているといわれている。
(※2)決算公告を行う場合には、貸借対照表(大会社は、加えて損益計算書)の要旨のみならず全文を5年間公開する必要があることや、また、法務局へホームページURLの登録を行う必要がある点に留意。
【Task 2(公証人役場へ予約連絡)】
定款作成後に公証人役場に訪問する場合には、事前に公証人役場に電話して訪問日時を公証人担当者と擦り合わせることが必要ですので、忘れずにメールや電話などで日程調整を行いましょう。
また、その際に、必要な資料等を先方に確認しておきましょう。
・定款認証は、本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人しかできないとされている。
・よって、例えば、本店所在地が東京都であれば東京都内にある公証人の認証を受ける必要がある。
【Task 3(公証人役場で定款認証)】
次に、公証人役場で定款認証を受ける場合に一般的に必要な書類を以下にまとめましたので、参考にしてください。
① 定款原本(紙)1通
- 登記申請用の紙の原本
② 発起人(出資者)全員の印鑑証明書
- 定款に記載された発起人の住所や氏名などの正確性を公証人が確認するため
- 発行から3ヶ月以内のものであることに留意
③ 収入印紙4万円
- 郵便局等で購入。電子定款の場合は不要
- なお、定款認証が確定した後に収入印紙を貼付すること(定款に不備がある可能性があるため)
④ 定款認証手数料3~5万円
- 公証人への手数料支払い。(※1)
(※1)100万円未満の場合は3万円、100万円~300万円未満の場合は4万円、その他の場合は5万円
⑤ 定款の謄本交付手数料
- 登記申請用と、自社控え(今後、定款の写しなど必要な場面があるため)の2部取得を推奨
- 1ページ250円程のため、2通で2,000円程
⑥ 個人印
- 押印漏れや修正などの際に必要のため
⑦ 本人確認書類
- 免許証やマイナンバーカードなど、本人確認のため
⑧ 委任状
- 代理人が定款認証を行う場合に必要(本人が申請する場合は不要)
Step 3(登記準備/申請)
簡単に、登記申請までの流れを教えて頂けますでしょうか?
作業の全体的な進め方は以下の通りです。
(1)定款に記載した資本金を、個人の預金口座へ振込み
(2)入金を証する書類のコピー
(1)各種登記申請書類の準備
(1)必要書類を持参して法(又は郵送)務局へ提出、または、マイナンバーを利用し電子申請
個別の内容については、以下でご説明いたします。
【Task 1(資本金の振込み)】
資本金の振込みの際の留意点を以下にまとめていますので、
しっかり理解しておきましょう。
ありがとうございます。
<基本的なポイント>
- 発起人の個人口座への入金が必要(法人口座は登記前に開設できないため、新たに口座を開設する必要はなく、発起人が現在使用している口座でOK)。
- 「資本金の預入れ」ではなく、通常は「資本金の振込み」が必要(発起人が1人の場合は、預入れでもOK)。
- 個人口座の現金残高に関わらず、改めて必要資本金の入金作業を実施する必要あり。
- 資本金を100万円と定めた場合、100万円ちょうどを振り込む必要はなく、100万円超が振り込まれていてもOK。
<振込タイミング>
- 株式会社の場合には定款認証日以降、合同会社の場合には定款作成日以降とすること。
- 資本金入金後、2週間以内に登記書類を法務局に提出すること。
<コピーが必要となる通帳のページ箇所>
- 通帳の表紙
- 通帳の表紙の裏面
- 資本金を振込んだことが分かるページ
<その他>
- インターネットバンキングを利用する場合(通帳がない場合)は、必要な情報が確認できる箇所を印刷。
【Task 2(登記書類の準備)】
次に、必要な登記書類を以下にまとめておりますので、参考にしてください。
なお、 クラウド会計システムベンダー提供会社設立支援ツール(freee会社設立)のケースを参考としております。
<1. 株式会社のケース>
① クラウド会計システムベンダー提供会社設立支援ツール内で生成可能な書類(freee会社設立のケース)
・定款
・登記申請書
・登録免許税納付用台紙
・就任承諾書
・発起人決議書
・払込みがあったことを証する書面
・OCR用紙
・印鑑(改印)届書
② 上記以外で必要な書類等
・公証人の認証を受けた定款謄本
・印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
・登録免除税(現金15万円)
・資本金入金証明コピー
・会社印と発起人の実印(修正や押印漏れがある場合に必要となるため)
<2. 合同会社のケース>
① クラウド会計システムベンダー提供会社設立支援ツール内で生成可能な書類(freee会社設立のケース)
・定款
・登記申請書
・登録免許税納付用台紙
・就任承諾書
・代表社員、本店所在地及び資本金決定書
・払込みがあったことを証する書面
・OCR用紙
・印鑑(改印)届書
② 上記以外で必要な書類等
・印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
・登録免除税(現金6万円)
・資本金入金証明コピー
・会社印と発起人の実印(修正や押印漏れがある場合に必要となるため)
【Task 3(法務局へ提出)】
この後、どのように申請すればよろしいですか?
どこが所管の法務局になるかは、会社の設置場所(お住まいの場所ではない点に注意)で決まり、申請方法は、”窓口/郵送申請”と”電子申請”の2種類あります。
このうち、”窓口申請”は実際に所管の法務局に赴いて申請する方法で、”郵送申請”は関連書類を郵送で提出する方法です。
また、”電子申請”はマイナンバーカードを用いて申請する方法です。国が提供する法人設立ワンストップサービスというシステムに登録し、実施することができます。
なお、会社設立日は、法務局へ申請書類を提出した日となり、手続完了日ではない点に、ご留意ください。
・申請方法には、“窓口/郵送申請”と”電子申請”がある。
・会社設立日は、法務局へ設立関連書類を提出した日となる(“郵送”の場合は、書類が届いた日となる)。
・登記申請後に登記完了予定日が通知されるため、それまでに修正等の連絡がない場合には、登記完了予定日までに無事に登記が完了したことになる。
おわりに
「会社設立」関連タスク記事
「会社設立」タスクに先立ち、以下のタスクに取り掛かりましょう。
その他の「会社設立」タスク記事
「会社設立」タスクを、
その他の形式の記事で確認したい方は以下をご参考にしてください。
創業MOVIEで確認したい方はコチラ