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事業承継に困ったら、とりあえず「事業承継・引継ぎ支援センター」へ!一人会社も積極的に活用しよう!

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中小零細企業は、日本経済において重要な存在でありながら、事業承継の課題に直面しています。

中小企業のM&A件数は年々増加し、直近(2021年度)では、事業承継・引継ぎ支援センター及び中小企業M&A仲介大手5社の合計で約2,400件以上にまで到達。

事業承継増加の背景として、多くのM&Aプラットフォームが誕生するとともに、中小企業庁が管轄する「事業承継・引継ぎ支援援センター」が重要な役割を果たしています。

本記事では、「事業承継・引継ぎ支援センター」のサービスや役割、今後の更なる普及のポイントなどを探っていきます。

出典:「中小M&A推進計画」の主な取組状況~補足資料~(中小企業庁/2022年6月)
目次

「事業承継・引継ぎ支援センター」とは?

産業競争力強化法の改正に伴い2021年4月に、親族内支援を行う「事業承継ネットワーク」と、M&A支援を行う「事業引継ぎ支援センター」が統合され、「事業承継・引継ぎ支援センター」として、組織が刷新。
全国47都道府県に支援拠点が設置され、事業承継とM&A支援をワンストップで行う体制が整備されました。

中小企業庁公表資料

事業引継ぎ支援センターのサービス

「事業承継・引継ぎ支援センター」の主な業務内容は以下の通りです。

  1. 事業承継・引継ぎ(親族内・第三者)に関する相談
  2. 事業承継診断による事業承継・引継ぎに向けた課題の抽出
  3. 事業承継を進めるための事業承継計画の策定
  4. 事業引継ぎにおける譲受/譲渡企業を見つけるためのマッチング支援
  5. 経営者保証(※1)解除に向けた専門家支援 など

経営者保証(※1)とは、企業が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が会社の連帯保証人となることを指します。金融機関からの融資の際に、経営者保証が提供されているケースは80%程度あるとされ、円滑な事業承継を阻害する要因の一つとなっております。
詳細は、以下のサイトをご覧ください。
中小企業庁:経営者保証のガイドライン (meti.go.jp)

出典:中小企業庁HP

「事業承継・引継ぎ支援センター」の支援スキーム

「事業承継・引継ぎ支援センター」では、後継者不在の中小企業のM&Aにおけるマッチング支援として、相談案件をデータベース化し、以下の流れで、各センター間における広域マッチングに取り組んでいます。

① 中小企業者等からの相談対応(一次対応)
② M&A候補案件の登録機関への橋渡し(二次対応)
③ 登録機関で対応できない案件等の引継ぎ支援(三次対応)

中小企業庁公表資料

また、令和2年10月からは民間のプラットフォーマー3社との連携を開始し、希望する相談者のノンネームデータを民間プラットフォーマーと連携しています。

中小企業庁公表資料

事業引継ぎ支援センターの対応実績

・「事業承継・引継ぎ支援センター」の相談件数・成約件数ともに増加傾向。令和3年度は事業引継ぎに関する相談件数が約13,000件成約件数が約1,500件に到達。
・「事業承継・引継ぎ支援センター」への相談者のうち、民間M&Aプラットフォーマーのプラットフォーム上で成約した実績も811件。今後も民間企業サービスとの連携を通じた成約が進むと考えられる。

中小企業庁公表資料
中小企業庁公表資料

「事業承継・引継ぎ支援センター」利用のメリット

次に、「事業承継・引継ぎ支援センター」の利用のメリットを確認しましょう。

専門サポート

・事業承継には、高度で複雑な法務や税務課題などが関連することも多いです。また、経営者保証など解決すべき様々な重要な課題があります。「事業承継・引継ぎ支援センター」では、民間の金融機関出身者や公的資格保持者等の専門的な知識と経験を持つ専門家が揃っており、スムーズな事業承継支援を展開しています。

全国対応

・「事業承継・引継ぎ支援センター」は、全国47都道府県に設置されているため、事業承継に対する疑問などに、対面/非対面の手段で相談可能。
・民間M&Aプラットフォームとも連携しながら遠隔地同士でのマッチングの可能性もあります。これまでは地域内での事業承継にとどまっていた課題を解決し、全国単位での事業承継が可能になっています。

無料利用

・「事業承継・引継ぎ支援センター」は公的支援機関であるため、原則として相談料は発生しません。無料で事業承継に関する相談や専門家士業の紹介といった支援を利用することができます。
・一方、DD(デューデリジェンス)の実施など、高度な専門知識が必要な内容は、外部専門家の紹介を受けた上で、個別に料金が発生します。この場合、国の補助金(事業承継・引継ぎ補助金など)を活用し、コスト負担を軽減することができる可能性もあります。
・このように、利用は原則無料であるものの、相談内容によっては個別に専門家の有料サービスを受ける必要があります。気になる方は、「事業承継・引継ぎ支援センター」相談員へ有償/無償サービスの線引きについて確認してみましょう。

「事業承継・引継ぎ支援センター」における課題

次に、「事業承継・引継ぎ支援センター」における課題を確認してみましょう。

各拠点でのサービス水準の向上(情報連携)

「事業承継・引継ぎ支援センター」の事業所ごとに相談員も異なるため、各拠点で均質のサービスを提供できるわけではありません。今後も、各拠点間での成功事例や有効な施策の共有などを行うことで、拠点ごとのサービスの質を高め続けることが必要でしょう。

PMIを見据えたアドバイス

2023年版 中小企業白書(中小企業庁)によると、中小企業におけるPMI(※1)の認知度はとても低い状況にあります。
事業承継においては、相手会社と事業承継に合意するプロセスに意識やリソースが集中しがちとなります。しかし、事業承継後の統合プロセスに失敗し、「事業承継を行ったが、結局うまくいかなかった…」というケースも多いです。
事業承継当事者のみならず、「事業承継・引継ぎ支援センター」としても、事業承継後を見据えたアドバイスも必要となるでしょう。

PMI(※1)とは、計画したM&A(事業承継)後の統合効果を最大化するためのプロセスを指します。

認知度

「事業承継・引継ぎ支援センター」自体の認知度は十分とは言えません。
「事業承継を考えているが誰に相談したらいいか分からない…」という方の最初の相談先として認知されるよう、認知向上による相談件数増加も課題の一つでしょう。

まとめ

「事業承継・引継ぎ支援センター」とは?

全国47都道府県に支援拠点が設置され、事業承継とM&A支援をワンストップで行う公的組織

「事業承継・引継ぎ支援センター」利用のメリット

経験豊富な専門家の支援を、原則無料で、全国47都道府県の拠点で受けることができる

「事業承継・引継ぎ支援センター」の課題

・拠点間での情報連携やPMIを見据えたアドバイスを行うこなどを通じたサービスの質の更なる向上
・「事業承継・引継ぎ支援センター」としての認知度向上

今回は、【事業承継・引継ぎ支援センター】に着目し、その解説を行いました。

円滑な事業承継を円滑に行うために、専門的な知識や経験をもつ専門家が、ビジネスの課題に対処し事業継続と成長をサポートする「事業承継・引継ぎ支援センター」の役割は重要なものとなります。

そして実際に、「事業承継・引継ぎ支援センター」を利用した事業承継の成約数は増加の一途にあり、中小零細企業の事業承継に必要な社会インフラとして重要な役割を果たしているものの、いくつかの課題もあります。

今後は、「事業承継・引継ぎ支援センター」として、各拠点での一定水準以上のサービス品質の維持拠点間/民間M&Aプラットフォーマーなどとの情報連携/人材交流などの変革も必要となるでしょう。
また、事業承継後のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)問題も解決すべき課題の一つです。「事業承継を行ったが、結局うまくいかなかった…」というケースも多いことから、事業承継前から事業承継後を意識した”お見合い”に臨むと共に、「事業承継・引継ぎ支援センター」としても、PMIも意識したアドバイスも重要になるでしょう。

事業承継は、廃業を減らし、雇用を守り、地域経済の活性化に繋がるものです。
「誰に事業承継を相談しよう?」と悩まれている方は、一度、地域の「事業承継・引継ぎ支援センター」に足を運んでみましょう。

創業Meister

当記事に関するお問い合わせなどは、以下よりお願いいたします。

「事業承継・引継ぎ支援センター」のリンク先

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