「事業承継・引継ぎ支援センター」とは?
産業競争力強化法の改正に伴い2021年4月に、親族内支援を行う「事業承継ネットワーク」と、M&A支援を行う「事業引継ぎ支援センター」が統合され、「事業承継・引継ぎ支援センター」として、組織が刷新。
全国47都道府県に支援拠点が設置され、事業承継とM&A支援をワンストップで行う体制が整備されました。
事業引継ぎ支援センターのサービス
「事業承継・引継ぎ支援センター」の主な業務内容は以下の通りです。
- 事業承継・引継ぎ(親族内・第三者)に関する相談
- 事業承継診断による事業承継・引継ぎに向けた課題の抽出
- 事業承継を進めるための事業承継計画の策定
- 事業引継ぎにおける譲受/譲渡企業を見つけるためのマッチング支援
- 経営者保証(※1)解除に向けた専門家支援 など
「事業承継・引継ぎ支援センター」の支援スキーム
「事業承継・引継ぎ支援センター」では、後継者不在の中小企業のM&Aにおけるマッチング支援として、相談案件をデータベース化し、以下の流れで、各センター間における広域マッチングに取り組んでいます。
① 中小企業者等からの相談対応(一次対応)
② M&A候補案件の登録機関への橋渡し(二次対応)
③ 登録機関で対応できない案件等の引継ぎ支援(三次対応)
また、令和2年10月からは民間のプラットフォーマー3社との連携を開始し、希望する相談者のノンネームデータを民間プラットフォーマーと連携しています。
事業引継ぎ支援センターの対応実績
・「事業承継・引継ぎ支援センター」の相談件数・成約件数ともに増加傾向。令和3年度は事業引継ぎに関する相談件数が約13,000件、成約件数が約1,500件に到達。
・「事業承継・引継ぎ支援センター」への相談者のうち、民間M&Aプラットフォーマーのプラットフォーム上で成約した実績も811件。今後も民間企業サービスとの連携を通じた成約が進むと考えられる。
「事業承継・引継ぎ支援センター」利用のメリット
次に、「事業承継・引継ぎ支援センター」の利用のメリットを確認しましょう。
専門サポート
・事業承継には、高度で複雑な法務や税務課題などが関連することも多いです。また、経営者保証など解決すべき様々な重要な課題があります。「事業承継・引継ぎ支援センター」では、民間の金融機関出身者や公的資格保持者等の専門的な知識と経験を持つ専門家が揃っており、スムーズな事業承継支援を展開しています。
全国対応
・「事業承継・引継ぎ支援センター」は、全国47都道府県に設置されているため、事業承継に対する疑問などに、対面/非対面の手段で相談可能。
・民間M&Aプラットフォームとも連携しながら遠隔地同士でのマッチングの可能性もあります。これまでは地域内での事業承継にとどまっていた課題を解決し、全国単位での事業承継が可能になっています。
無料利用
・「事業承継・引継ぎ支援センター」は公的支援機関であるため、原則として相談料は発生しません。無料で事業承継に関する相談や専門家士業の紹介といった支援を利用することができます。
・一方、DD(デューデリジェンス)の実施など、高度な専門知識が必要な内容は、外部専門家の紹介を受けた上で、個別に料金が発生します。この場合、国の補助金(事業承継・引継ぎ補助金など)を活用し、コスト負担を軽減することができる可能性もあります。
・このように、利用は原則無料であるものの、相談内容によっては個別に専門家の有料サービスを受ける必要があります。気になる方は、「事業承継・引継ぎ支援センター」相談員へ有償/無償サービスの線引きについて確認してみましょう。
「事業承継・引継ぎ支援センター」における課題
次に、「事業承継・引継ぎ支援センター」における課題を確認してみましょう。
各拠点でのサービス水準の向上(情報連携)
「事業承継・引継ぎ支援センター」の事業所ごとに相談員も異なるため、各拠点で均質のサービスを提供できるわけではありません。今後も、各拠点間での成功事例や有効な施策の共有などを行うことで、拠点ごとのサービスの質を高め続けることが必要でしょう。
PMIを見据えたアドバイス
2023年版 中小企業白書(中小企業庁)によると、中小企業におけるPMI(※1)の認知度はとても低い状況にあります。
事業承継においては、相手会社と事業承継に合意するプロセスに意識やリソースが集中しがちとなります。しかし、事業承継後の統合プロセスに失敗し、「事業承継を行ったが、結局うまくいかなかった…」というケースも多いです。
事業承継当事者のみならず、「事業承継・引継ぎ支援センター」としても、事業承継後を見据えたアドバイスも必要となるでしょう。
認知度
「事業承継・引継ぎ支援センター」自体の認知度は十分とは言えません。
「事業承継を考えているが誰に相談したらいいか分からない…」という方の最初の相談先として認知されるよう、認知向上による相談件数増加も課題の一つでしょう。
まとめ
「事業承継・引継ぎ支援センター」とは?
「事業承継・引継ぎ支援センター」利用のメリット
「事業承継・引継ぎ支援センター」の課題
当記事に関するお問い合わせなどは、以下よりお願いいたします。
「事業承継・引継ぎ支援センター」のリンク先